Archive for the ‘Book’ Category
チェーン・ポイズン (本多孝好 講談社文庫)
帰国する人のガレージセールで買ってきたんだかした本。本棚においてあったのでついつい読んでみた。
自殺の動機があってから1年後にアルカロイド系の毒物で服毒自殺をする、という事件が同時期に3件起こり、それを不審に思った雑誌記者の人がその真相をつきとめていく、という話。この人の本は多分初めて読んだけど、ノリやテンポが結構好きかも。オチはなんとなくなんだかなーな感じだったけど、面白く読めました。
それにしても、久しぶりに本読みました。やっぱり本はいいねぇ。
あきない世傳 金と銀 源流篇 (髙田 郁 時代小説文庫)
多摩センターの三越で、昼寝したチビの起き待ちのママのために買った本。
みをつくし料理帖の作者の新作、今度は呉服商に奉公に入った女の子のお話。みをつくしのあの語り口とテンポで紡がれる新しい話、とてもおもしろいです。不安なのは、今度は何冊出たら終わるんだろうか…ということ。
世界から猫が消えたなら (川村 元気 小学館ジュニア文庫)
観覧車乗りに行った帰り、りんかい線の東京テレポート駅の中の売店で買った本。
この世界からひとつ何かを消す代わりに、一日だけ命を得ることができるとしたらどうする? そんなお話。平易な文章でするする読めるのに、面白い。ずいぶんと狙い過ぎなタイトルだなと思ったけど、タイトル負けしてない本でした。猫が中心かとおもいきや実は案外そうでもないので、猫好きじゃなくても楽しめます。猫好きなら面白さ倍増でしょう。
映画が今上映中で、かなり人気らしいですね。ちょっと見てみたいです。
Find the Constellations (星座を見つけよう)
私が子供の頃、とても好きだった本の原書を偶然見つけました。どこに何が書いてあるかってのが全てわかるくらい繰り返し読んだ記憶があって、いま開いてみてもそれをちゃんと覚えててびっくりしました。うちのチビがもう少し大きくなったら、買ってあげようかなと思ってます。
それにしても、英語版も日本語版も今でも売っているんですね。超ロングセラーなんだなぁ。
海賊とよばれた男 (百田 尚樹 講談社文庫)
サンノゼ紀伊國屋の20%オフセールのときに購入。今まで気になってて、セールになってたので思わず買っちゃいました。本屋大賞受賞作。
太平洋戦争で社員以外すべてを失ってしまった石油販売の国岡商店のオーナー国岡鐵造が、勇気と情熱と人情で再び事業を復興させるお話。厚い義理人情が日本人の心に響く、まさに古き良き昭和な時代の話です。この話は出光興産とその創業者の出光佐三氏がモデルになっていて、ほぼ実際にあった話を元に書かれているらしく、実はその情報だけ読む前から知っていたので、「え、これほんとにこんなことあったの?この先どうなったの?」ととにかく先が気になって、読み始めたらあっという間に読み終わってしまいました。
面白い、うん、すごく面白い。それは間違いないんだけど、んーと、なんだろな、永遠の0のときも思ったんですが、時代背景とか事件とかものすごく綿密に用意されているのだけれど、それが消化しきれてなくて、なんか時系列に起こったことがぶつ切りに羅列されているだけという感じ。面白い歴史の教科書を読んでいるような印象を受けました。もっとトピックを絞って、流れるような展開になってたらもっと面白いのになぁ。じゃあお前書けるのかと言われたら書けないので、偉そうなことをいうな、っつー感じですが。
星を継ぐもの (ジェイムズ・P・ホーガン 創元SF文庫)
年が明けてそうそう、いきなりというかまぁとうとうというか風邪を引きまして、家にこもりきりという実に寂しい正月を過ごしてました。頭が回らないので生産的なことは何一つできなかったのですが、逆に本を読もうと割りきって、前から読みたいと思っていて最近Kindle化された「星を継ぐもの」を読んでみました。
月で見つかった正体不明の宇宙服を纏った死体が、実は5万年も前のものだった、というところからはじまるSF小説です。なぜ5万年も前の人の死体が月にあるのか… から始まる壮大な話の展開と謎解きがとても面白い。あちこちで勧められている理由がわかります。それにしてもまぁ何がすごいって、これが70年代に書かれているのに、今読んでも全然遜色が無いということ。そんなこといったらアシモフやクラークは50年代から書いてるじゃないなんて無粋なツッコミは無し、ということで。
そういえば、作品中で月で死体を発見したのは確か2029年とか書いてあった気がするんですが、それってあと14年ってことよねぇ。70年台から見た2029年は月面基地ができて月と地球との間を人が頻繁に往復すると予想してたんですねぇ。予想よりだいぶ遅れているような気がして、人類の未来はこのままで大丈夫かいな、という漠然とした不安を本を読んでいて感じました。
Goodnight iPad
Goodnight Moonというアメリカではかなり定番の子供用の絵本があります。なんだかうちにもありまして、チビに読んで聞かせたりしてたのですが、先日、California Academy of Sciencesに遊びに行った時に、売店で…
この本のパロディで、Goodnight iPadという本を見つけました。ちょっと立ち読みしてみたのですがこれ原作を知っている人が読むとかなり悶絶モノの面白さ。その場では買わなかったのですが、結局Amazonで探して買っちゃいました。もし、原作を知っているかたはぜひ立ち読みでいいのでご一読を。腹筋よじれるくらい笑えます。
箱庭図書館 (乙一 集英社文庫)
短篇集。内容は、んー、面白いんだけど、なんというか、統一感が無いというか、バラバラな感じが否めない。短編なので、一つ一つ割りきって読むのはいいかもしれないけど、登場人物や舞台が微妙につながっているので、まとめて読むとなんか違和感を感じます。
あとがき読んで初めて知ったのだけど、これは元ネタが素人さんのボツ原稿を元に話を仕上げる、という企画で書かれたものだそうです。まぁ、そういわれればらしくない話も多くて、まあ納得。
ハーモニー (伊藤 計劃 ハヤカワ文庫JA)
だいぶ前にKindle Storeで買った本。寝る前に少しずつ読んでやっと読み終えました。2009年SF大賞受賞作品。
一世紀くらい未来が舞台の話。世界は一度国境が崩壊して生府と呼ばれる機関が世界を統治し、人々はナノマシン的なものを体に埋め込んで絶えずモニタすることで病気とは一切無縁になった一見理想郷のような世界を、これはなんか違うんじゃないかと異を唱え抗う女の子たちの話。ノリ的には前に読んだ虐殺器官に近いけど、こっちのほうが面白いです。特に科学的な面がかなり緻密に練りこまれた舞台設定は、理系の人なら特に面白く読めると思います。逆に、そういうの好きじゃない人にはちょっとうっとおしかも。最後まで面白く読めました。
本筋とは関係ありませんが、この本にはあちこちに他の作品の名セリフ名タイトルが織り込まれています。一度ならず二度三度とニヤリとさせられたので、少しだけ書き留めておきます。
まるで、宇宙人や超能力者でも持ってこなければ話しにならん、と求婚者に理不尽を告げるかぐや姫のよう。
蒼き衣をまといて黄金の野から現れる
ミァハはポケットから握りしめた手を出すと、わたしたちの前でそっと指を開き、わたしたちにとってたったひとつの冴えたやりかたを提示してみせる
県庁おもてなし課 (有川浩 角川文庫)
日本で買ったんだっけかな。チビをお風呂に入れるついでに1ページ2ページ風呂で読みつつ、ようやく読み終わりました。
高知県の観光促進のために設けられた「おもてなし課」が、がんじがらめのお役所体質と戦いながら高知をよくしていこうという話。高知県には実際に「おもてなし課」が存在するそうで、それがそのまま題材になっているそうです。地方の観光の現状や、地方でもうまくやっているところはどうやってうまくやっているか、などの話が興味深いし、読んでてこっちが身をよじりたくなるようないつもの有川流の甘酸っぱい要素も健在だし、有川さんは高知出身だそうでその土地の人や風景の描写もいきいきとしていてるし、とても楽しく読めました。
あとがきには、全国の観光課がこぞってこの本をテキストにしたい、という問い合わせがあったそうです。読んでみるとそれも納得です。巻末には実際に有川さんと高知県おもてなし課の対談もあります。あ、あと、文庫は表紙が個人的にすごく好みです。
映画化されてるそうで、舞台となった高知の風景を実際に映像で見ることができるみたいなので、ちょっと気になるところ。機会があったら見てみたいところです。