代筆屋 (辻仁成 幻冬舎文庫)
お茶の水の丸善で買いました。
売れない小説家が、小説を書く上で役に立つのではないかと副業で始めた手紙の代筆屋さんのお話。短編集です。基本的にどのエピソードも、いきつけの喫茶店で依頼者の話を聞きこみ、依頼者に代わって手紙を書き上げる、という内容なのですが、その依頼の内容とそれに対する手紙がどれも面白くて、ひとつ読み終わると次が気になって、結局一気に読んじゃいました。
あんまり書いちゃうとこれから読む人の楽しみがなくなっちゃうかもしれないのでアレなんですが、私がこれを読んでて思わず唸ったのは、どのエピソードも、最後に手紙の内容が紹介されて、そこで終わり、というところ。その手紙その後渡したのか、渡して上手くいったのか、というのは全然書かれてないのです。なもんで、読み終わったあとの妄想が実に楽しい。この、書かずの美学、のようなもの、面白いです。
それにしても、手書きの手紙のあたたかさやメッセージ力って侮れないよなぁ、って改めて思いました。そういや最近手紙全然書いてないや。たまには手紙書こうかな。