diary

恋文の技術 (森見 登美彦 ポプラ文庫)

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やりとりした手紙の内容だけで話しが進んでいく、書簡体形式で書かれた本。面白いと噂を聞いてたので、日本に帰ってた同僚の人に、日本で買って持ってきてもらいました。

大学院に進学したけど京都から能登の研究室に島流しになって寂しくなったヘタレの守田くんが、知り合いに片っぱしから手紙を出しまくるという話。手紙のやりとりを通して恋文の技術を完成させることが彼の目的なのだけれども、そんな彼の苦悩っぷりが実に面白く、そして妙に共感できちゃったりします。例えばこんな感じ。

それにしても、自分が求める相手に求められるというような虫のよい現象が、本当にこの地球上では起こっているのですか。何かがおかしいと思う。私の考えからすれば、そんなに上手な配合がそこかしこで起こるはずがないのです。みんな嘘つきなんだ。

自分の思いを文章に託しているのか、それとも書いた文章によって想いを捏造しているのか。

手紙を読んでいくだけなんてしんどそうだなぁ、と思ったけど、複数の人に宛てた手紙から話の流れを多角的に見ることができて、これが結構面白い。話のテンポも軽快だし、森見節がこの文体にとても相性がよくて、読んでて楽しいです。最近読んだ本の中ではかなり面白い部類に入るかも。

Written by Kei

June 24th, 2011 at 12:02 am

Posted in Book

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