さくら (西 加奈子 小学館文庫)
26万部を売り上げたベストセラーが文庫化、という帯をみて、紀伊国屋でなんとなく買いました。
両親と兄と妹とサクラという犬に囲まれて育った、次男の薫の視点から描かれた家族の歴史の話です。話はとりとめない感じだったけど、それに、あちこちに散りばめられている表現がとても印象的でした。たとえば、
世界中の鶏が、一斉に朝を知らせるみたいに(妹が泣き出したとき)
僕らの影はそれはそれは賑やかで、太陽でさえ僕らを地面に映すのに苦労していたくらいだ。(兄弟みんなで遊んでいるとき)
森の木がぶつかり合うときみたいな音をさせて笑う(兄の笑う仕草)
などなど。それにしても、このサクラって犬が、とにかくかわいいんだよねぇ。