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IT業界にこれから入る新卒の方へ

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3月の一ヶ月間、IT業界に入社する新卒の方たち(へ|から)、毎日持ち回りでブログのエントリを書くという、新卒準備カレンダー 2011春、という企画に参加しました。

4月からIT業界で働きはじめる新卒のみなさん、はじめまして、keiです。シリコンバレーにある某巨大ソフトウェア会社でプログラマをやってます。IT業界は15年になります。自己紹介がてら、私がシリコンバレーに来た経緯からお話しようと思います。

今をさかのぼること15年ほど前、私は大学を卒業して、とある外資系のソフトウェアベンダーに就職しました。新卒の研修が終わって配属されたのは製品のマーケティングの部署でした。仕事の内容は、製品の機能を調べ、デモを作り、セミナーやプレゼンを繰り返し、製品のテストを手伝い、日本市場に製品をリリースする、と、非常に多岐に渡るもので、社内外のたくさんの方々と会えるチャンスがあり、毎日が変化に富んでいて、とても楽しいものでした。

2年ほどそんな仕事を続けて、ひと通りの仕事の内容がわかってきたある日、いつものようにどこかでセミナーをやっていたとき、「俺、この製品なら何でも知ってるぜって顔で今説明しているけど、この製品が実際にどうやってできているかって本当は全然知らないよな…」という考えがふいに頭をよぎりました。デモを作るために製品上で動くコードは書くけども、それ以上のことはわからない。毎日が忙してく楽しくて忘れていたけど、もともとは技術が、プログラミングがやりたくてIT業界を目指したんだ、という気持ちを思い出しました。できることなら、この製品を作る側に立ちたい…!

私のいた会社では製品そのものの開発の仕事は一切無く、ものはすべてアメリカにある本国で作られていました。その当時、まわりの他の会社も似たような状況で、日本でプログラマの仕事といえば、主に既にある製品を組み合わせてシステムを構築してお客様に納品する、といういわゆるシステムインテグレーションというものばかり。そして、そこで使われる製品は、Microsoftをはじめ、ほとんどがアメリカで作られたものばかりでした。

そんなこんなで、自分がやりたいことをやるには、もう、アメリカにいくしかないんじゃないか、と真剣に思い始めていた頃、社内でアメリカ本社に何名か転籍できるという話があり、それに応募して、運よくアメリカの本社に入社することができました。アメリカに転籍したときの条件はプログラマではなく、QAといって製品をテストするのが主な仕事だったのですが、その後紆余曲折あって、今は念願かなってプログラマになり、コードを書いてものを作る毎日を送っています。

Mixiやはてな、GREE、ドワンゴ、などなど、今でこそ日本国内でも開発の仕事のチャンスは増えてきてはいるとは思いますが、身の回りを見渡してみれば、Google、Apple、Facebook、Twitter、数々の魅力的なスタートアップ、今でも、創造はここシリコンバレーから始まっている、といっても過言ではないんじゃないでしょうか。

つまり、何がいいたいかっていうと、もし、あなたがコードを書くのが好きで、何かを自分で創りだしてみたいと思っているならば、ぜひアメリカを、シリコンバレーを目指してほしい、ということです。絶えず新しいサービスや製品を作るチャンスにあふれていて、プログラマの需要も地位も給料も高い、というこのエンジニアにとっては夢のような場所は、十分挑戦するに値するんじゃないか思います。

え~、でも、やっぱりいきなりシリコンバレーは敷居が高すぎるよ、と思うかもしれません。私も最初はそう思いました。でも、実際は案外なんとかなるもんです。私がこちらにきて、思ったよりなんとかなるな、と強く感じたのは次の2点です。

・仕事の英語は意外になんとかなる

私がアメリカに来た当時の英語力は、それはひどいものでした。でも、仕事に関しては最初からそれほど英語には苦労しませんでした。なぜかというと、IT関連の専門用語は、ほとんど英語だからです。なので、知っている単語を組み合わせれば、多少文法がおかしくても、プログラマ同士でのコミュニケーションは意外に成り立つものです。たとえば、「コアダンプしてプロセスがダウンした」なんて、単語は全部英語です。かたことでcore dump, process, downと並べるだけでも案外通じます。それよりも、とにかく大事だな、と思ったのは、伝えようと意思を持って、英語が下手でも恥ずかしがらずにまずは言葉に出すことです。ここシリコンバレーは、アメリカのほかの地域と比べて、英語が母国語でない人がかなりの割合でいます。大丈夫、自分一人だけがコンプレックスを持っているわけじゃありません。

・技術も意外になんとかなる

シリコンバレーといったら、超一流のハッカーたちがごろごろいて、自分なんかとても歯が立たないんじゃないだろうか、という不安があると思います。でも、私が今まで一緒に仕事をしてきた人たちは、すごい人もいれば、普通の人もいて、そして、とんでもなくダメな人もいました。私の感覚では、日本である程度まわりから技術があると認められている人ならば、たとえ突き抜けてなくても、こちらでも十分に通用すると思います。

いかがでしょうか? だいぶ、シリコンバレーが近くに感じられてきたんじゃないかと思います。では、実際に目指すとして具体的にまずどのあたりから手を付けたらいいのでしょうか。もし仮に、今の私が、新卒入社の頃の私に話す機会があるとしたら、こんなアドバイスをしたいと思います。

・英語を勉強する

前述したとおり、プログラマでやっていくならば、最初から完璧な英語は必要だとは私は思いません。それよりも、自分で勝手にハードルを上げすぎて、アメリカに来る以前に、自分で自分に負けてしまうことがないようにすることが大切だと思います。とはいうものの、それでもやはり面接などを突破する程度の英語力は必要だし、英語力が無いよりはあるにこしたことはありません。時間を見つけて、少しずつでも自分の英語の力を伸ばすのは、たとえシリコンバレーを目指していなくても、IT業界で食っていこうと思っているならば、決して無駄にはならないと思います。

・ネットワークを広げる

社内外を問わず、自分の職場以外の人たちと交流を持つことをおすすめします。Pythonハッカソンやカーネル読書会のような勉強会にいくもよし、趣味の集まりに参加するもよし、人に直接会うのがしんどいなら、オンラインのコミュニティに参加してみるもよし。職場以外の人との関わりを持つということは、自分のネットワークを広げるだけでなく、意外といろいろな発見やチャンスがあったりするものです。

・アンテナは高く

新しい技術やトレンド、自分の興味のあることなどについて、最新の情報を広く集めて自分に入れ続けることは、新しいアイデアのヒントになったり、自分の仕事を助けてくれたり、会話のきっかけになったりと、いろいろな意味でいいことが多いです。とはいっても、ただでさえ社会に出たばかりでいろいろと忙しいのに、いろいろなことを全部自分で追いかけるのはなかなかに大変なことだと思います。自分と興味が近い友達とたまにお茶でも飲みながら情報交換をするなど、いろいろ工夫をしてみるといいと思います。

・技術を磨く

このリレーの発起人(?)の@ymotongpooは、何度か直接会って話をした限りでは意外にノーマルな感じだった印象があるのですが、どうやらハードコアなエンジニアらしいので、きっとこの企画に乗ってきている方々もきっと相当キレキレなはず。きっと、技術の磨き方については他の皆さんからたくさん素敵なアドバイスがあると思いますので、ここではあえて割愛します。

新卒の方へエールを送るためのエントリが、とりあえずシリコンバレー目指してがんばれ的な、ちょっと的はずれな内容になってしまいました。なんか、あたかももうリタイアして隠居した人のエントリみたいになってしまいましたが、私もまだまだ現役、このエントリを書いていて、自分ももっともっとがんばらんといかんな〜と思いを新たにしました。そういう意味で、この機会をくれた@ymotongpooには感謝です。新卒のみなさん、色々と新しいことばかりで最初は大変だろうけど、がんばってください。そして、いつかこの地で一緒に働ける日を楽しみにしています。

次回は@takabowさんです。

Written by Kei

March 5th, 2011 at 3:22 am

Posted in Diary,Tech

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